研究分担者 |
川本 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30282354)
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
内田 和彦 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90211078)
土井 幹雄 茨城県衛生研究所, 所長
高橋 秀人 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80261808)
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研究概要 |
本研究は、これらの胆道がん多発地帯をフィールドとしている研究者と共同して、臨床病理データ、疫学データ、切除標本や抽出DNAを収集し、病理学的検索と遺伝子解析をゲノムワイドに行うものである。 1)タイ国での寄生虫(Opisthorchis viverrini:OV)感染関連の肝内胆管がん新鮮標本26例からDNAを抽出して、コンパラティヴ・ゲノム・ハイブリダイゼーション(CGH)法により遺伝子変化を調べた。遺伝子コピー数の増加(増幅)は、染色体1q22-31(全例の35%),3q25(31%),8q23(27%),5p15(23%),及び17q24(23%)に認められた。また、遺伝子コピー数の減少(欠失)は、1p33-ter(22%),9p21-22(12%)及び18q23(12%)に認められた。 興味あることに、染色体3qと8qでの染色体の増幅は、有意差を持って肝内胆管型(Intraductal growthtype: ID型)に多く認められた(P<0.05)。また、染色体3qでの増幅は、ステージII+IIIに有意に認められた(P<0.05)。 2)主に、インドのサンジャイ・ガンジー卒後医科学研究所(SGPGI)から得られた64例の胆嚢がんについてアラキドン酸代謝に関与するサイクロオキシゲナーゼ2(COX-2)を免疫染色により調べた。胆嚢がんでは、COX-2は64例中57例(89.1%)が、がん部に隣接する非がん部の上皮は、19例中9例(47.4%)に陽性であった。興味深いことに胃がん等での拡大手術のために摘出した胆嚢正常部上皮では、11例中9例(81.8%)と高率に陽性であった。また。以上の結果は、従来、大腸がんを初めとしていろいろのがんにおいてのCOX-2の発現が見られることと一致して胆嚢がんでも高率にCOX-2の発現が見られ、がん部に隣接する部位では、COX-2の発現率が低かった。しかし、予想外なことは炎症が見られない正常の胆嚢上皮でのCOX-2の発現が高率に見られたことであった。
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