研究分担者 |
MPU Kanoko インドネシア大学, 医学部, 教授
SANTOSO Corn インドネシア大学, 医学部, 免疫研主任
宗像 信生 国立がんセンター研究所放射線研究部, 室長 (50100152)
大野 良之 名古屋大学, 医学部, 教授 (10160590)
上田 正登 神戸大学, 医学部・医学科, 助教授 (20176598)
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研究概要 |
平成10年度はジャカルタで4回研究班会議を開いた。8月末に開いた第2回会議では日本側研究者全員が参加し皮膚癌疫学調査など本研究について討論した。第3回会議では平成10年度の症例数が約60くらいであることが予測されるため次年度以降には年間100例の症例を収集するための方法が検討され、また病理組織を全症例で得るための方法も検討された。 (1) 平成10年11月末日までのインドネシアの皮膚癌集計(インドネシア大学附属関連病院のみ)の合計は128例で、うち基底細胞癌(BCC)85例、有棘細胞癌(SCC)31例、悪性黒色腫(MM)12例である。BCC:SCC比は2.8:1.0と低いが、日光曝露部位に限り分析するとSCC症例は16例、BCCは84例、BCC:SCCは5.3:1とBCCが圧倒的に多い。MMは全例合わせて12例で、日光曝露部に限ると3例であった。なお、BCC85例について年齢分布をみると60〜64才にピークがあり、また男女比較では60才までは男性に、60才以降は女性に多い傾向がみられた。 (2) 症例・対照研究では平成10年11月までに123皮膚癌症例と226対照例が集められている。皮膚癌が好発する要因を統計学的に求めると、教育レベルが低い人[OR(Odds Ratio)=4.2,95%信頼区間(2.40〜7.40)]および戸外労働者[OR=3.49,(2.01〜6.07)]が挙げられ、逆に、皮膚癌発生率が低い要因として、遮光[OR=0.47,(0.29〜0.77)]であり、食物に関してはニンニク[OR=0.57,(0.36〜0.92)]、肉食[OR=0.38,(0.23〜0.01)]、鶏卵[OR=0.29,(0.16〜0.50)]などである。野菜や新鮮果実摂取[OR=0.32,(0.17〜0.62)]も発癌を低下させる要因とはなっている。 (3) 太陽紫外線計測:ジャカルタと東京の4季節各々7日間、合計4週間の紫外線量(胞子失活線量)を比較すると約2.5:1となり、デンパサール:東京比は3.75:1であった。 (4) なお分子疫学を実施するため、皮膚癌組織を迅速に凍結するシステムを確立できたので今年度に約10例、次年度には約50例のサンプルを分析できると期待される。 (5) 今年度から人工紫外線Bを用い最少紅斑量を調べた。まだ10名と少ないため今後症例を増やしスキンタイプの意義を明らかにする。
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