雲南地域の植物性抗がん剤に関する研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09042010
• 研究機関: 帝京大学
• 研究代表者: 西村 敏男 帝京大学, 理工学部, 教授 (10013327)
• 研究分担者: 崔 承彬 北京生物医薬研究所, 教授 ; 劭 剛 瀋陽薬科大学, 教授 ; 姚 新生 瀋陽薬科大学, 教授 ; 作田 庄平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80192087) ; 鶴尾 隆 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (00012667)
• キーワード: 抗がん活性 / 細胞毒性 / 雲南植物圏 / BRM活性 / 抗酸化活性 / 紅花 / カメバカウリン / フェルラル酸

研究概要

1、平成九年度は、中国 雲南省-四川省地域の植物を中心に採集し、熱水およびアルコール抽出により231種の粗抽出物を得られた。また一次スクリーニングで有効であったものについて、多量の植物が採集され。粗抽出物を得られた。
2、採集された粗抽出者について、P388/ADM細胞、K562/DM細胞の培養細胞に対する毒性、マウスのリンパ球B細胞、T細胞、マクロファージ細胞等に対するBRM活性、ウサギ赤血球膜ゴ-ストを用いた抗酸化活性などの評価系による一次スクリーニングを行った。その結果、これらの評価系に有効であったものが10数種類認められ、有効成分の単離精製が進行中である。
3、Terminalia Chebula Retez(訶子)より培養がん細胞に毒性を示すarjunglucosid Iとarjungeninが単離され、同定された。後者はより強い細胞毒性を示した。
4、Piectrauthus excisus Haxim(尾叶香茶菜)の抽出物から、がん培養細胞に対する強い毒性を示すKamebakaurinが単離され同定された。動物移植がんに対する効果を検討中である。
5、Carthamus tinctorius(紅花)の熱水抽出物より単一な中性糖を主成分とする抗腫瘍活性を示す高分子物質SFIとSF2が得られた。これらはマウス移植乳がんFM3Aの動物実験において、0.1〜1mg/kg/day×5ip、投与によりT/C約160〜180%の抗腫瘍効果が認められた。またB16メラノーマ細胞を使ったBDF1マウスにおける肺転移抑制効果が認められた。これらの物質は高濃度で培養がん細胞に対する増殖阻害作用が弱いことから、生体防御を修飾することにより、抗腫瘍活性を示すものと考えている。
6、Luawigia hyssopifolia(蘇木)の抽出物より抗酸化作用を示す物質が2種単離され、一つはferutlic acidと同定された。作用機構について追求中である。

研究成果

• [文献書誌] T.Nishimura.et al.: "Isolation and structure elucidation of the biologically active components of Terminalia chebula Retzius(Combretaceae)." KIMIKA. 12. 1-10 (1996)
• [文献書誌] T.Nishimura.et al.: "Immunosuppressive effects of gallic acid and Chebulagic acid an CTL-mediated cytotoxicity." Bio1.Pharm.Bull.20. 1017-1019 (1997)
• [文献書誌] T.Tsuruo.et al.: "Apoxin I,a nobel apoptosis-inducing factor with L-amino acid oxidase activity purfied from western diamondback rattlesnake venom." J.Biol.Chem.272. 9539-9542 (1997)
• [文献書誌] T.Tsuruo.et al.: "Action cleavage by CPP-32/apopain during the development of apoptosis." Oncopgene. 14. 9539-9542 (1997)
• [文献書誌] S.Sakuda.et al.: "Stereospecific reduction of virginiamycin M1 as the virginiamycin resistance pathway in Streptomyces virginiae." Antimicrobiol Agents and Chemotheraphy. 40. 595-601 (1996)
• [文献書誌] X.S.Yao.et al.: "Furostanol glycosids from bullbs of Allium Chinese." Phytochemistry. 41. 283- (1996)
• [文献書誌] C-B.Cui.et al.: "Novel mammalian cell cycle inhibitors,tryprostatins A,B and other diketopiperazines produced by Aspergillus fumigatus. I Taxonomy,fermentation, isolation an biological properties." J,Antibiot.49. 527-533 (1996)