研究課題
本研究計画では、3年間の各年度ごとに、それぞれ重点課題を設定し、段階的に課題の究明をめざし、最終的に総合する方法をとって共同研究を進めていきた。本年度は、昨年度の重点課題「漢唐長安城と黄土高原」の成果のあとをうけて、「漠唐長安城と関中平野」と題し、テーマを関中平野の生態環境史に限定して、研究を続けてきた。中国側のメンバーの招へい計画が、メンバーの病気によってできなくなったが、その分、日本側が、中国で共同研究にまい進して、以下の通り、期待通りの成果をあげることができた。(1) 関中平野の共同調査(夏春合計2回)。夏の調査では、中国側の全面的協力のもとで、関中平野東部の古代灌漑施設や耕作地、漢唐の陵墓、古代道路などを重点的に調査した。特に、昨夏実施した、水利施設の調査を今年も続行し、古代灌漑用水の流路の発見など新発見をいくつかあげることができた。この調査の成果は、今夏、日本の出版社(勉誠社)より公刊される予定である。(2) 昨年の第一年度の共同研究の成果を、『漢唐長安与黄土高原-中日共同研究第一輯』 (西安:陜西師範大学歴史地理研究所、1998年4月、292頁)と題して公刊し、内外の研究者の好評を得た。共同研究の毎年度での成果の出版をめざし、今年度は、第二輯の刊行の準備を進めている。(3) 西安での第2回学術討論会の開催。昨年に引き続き、西安にて、共同研究のテーマをめぐる小規模の学術討論会を、中国側の主催によって開催した。ここでは、上記の共同研究の第一論文集がすでに公刊されていたこともあり、本共同研究の昨年度の成果が、中国の学界に少なからぬ影響を与えていることが確認できた。(4) 本共同研究に関する論著目録の作成作業を進展させた。最終的には、来年度刊行をめざして、現在、日本と中国と両地域で編集を進めている。本論著目録は、中国の都城と生態環境に関する、世界でもっとも網羅的で系統的な内容をめざして編集作業を続けており、作業の大半が、ほぼ完了している状況である。
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