研究分担者 |
クラディン N.N. ロシア科学アカデミー極東支部, 歴史考古民族学研究所, 副所長
シャフクーノフ E.V. 極東大学, 考古学民族学講座, 主任教授
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 第4研究部, 助教授 (70178648)
佐藤 宏之 東京大学, 文学部・附属北海文化研究常呂実習施設, 助教授 (50292743)
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70169184)
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研究概要 |
平成9年9月に2週間,日本の研究者とロシアの研究者が共同して,アムール側下流域の村落の現状の把握と歴史的な背景を検証するために実地調査を実施した。アムール川下流域は鉄道,道路は共に機能していないため,川を利用する以外に調査をする方法がないために,ハバロフスクで船を雇い,それを利用して村落のあるところに上陸して調査を行った。ナイヒン,ノヴォイリノフカ,ブリヴァ,ドゥジ,ピバンなどで実地調査及び聞き取り調査を実施した。その結果,自然集落の具体的な在り方を調査するのは,現在が最後の機会であることを改めて実感した。ソヴィエト政権下における少数民族政策により,自然集落は根こそぎ解体され,当時の有様を記憶している古老も数を極端に減じており,今を逃すと永遠にその様態は謎のままになってしまうおそれがある。早急に調査をする必要があることが日本とロシアの研究者の間で確認された。 そのためには,聞き取り調査と並んでソヴィエト政権下で行われた集落の統廃合を具体的な資料によって跡づけるために,ハバロフスク・ウラジオストックの公文書館などに保管されているソヴィエト政権下の公文書を閲覧して,個々人の移動の在り方を調査することが望ましい。これは主としてロシアの研究者の調査に俟たなければならないか,平成10年2月に佐々木がハバロフスク・ウラジオストックに出かけ,調査項目を打ち合わせの上,ロシアの研究者と共同して調査検索を開始した。10年度以降は実地調査,聞き取り調査,公文書調査を3本の柱として,この最後の機会になる少数民族の自然集落の調査研究を継続的に実施する。
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