研究分担者 |
クラディン N.N. ロシア科学アカデミー極東支部, 歴史考古学研究所, 副所長
シャフクーノフ E.V. 極東大学, 考古学民族学講座, 主任教授
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 第4研究部, 助教授 (70178648)
佐藤 宏之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50292743)
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70169184)
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研究概要 |
平成10年8月に17日間,日本の研究者とロシアの研究者が共同して,アムール川下流域の3村落の詳細な現状の把握と生活の実態を究明するために実地調査を実施した。アムール川下流域は鉄道,道路は共に機能していないため,川を利用する以外に調査をする方法がないために,昨年の調査と同様にハバロフスクで船を雇い,それを利用して村落のあるところに上陸して調査を行った。ナイヒン,ニジュネ,ハルビ,カリチョームで,簡単な測図調査を含む実地調査及び聞き取り調査を実施した。その結果,現在アムール河を中心に行われている漁撈の在り方と様相を明らかにし,その歴史的な展開についても,ある程度の見通しを得ることができた。現地調査を実施した時期のアムール河流域の天候は,調査の全期間を通して太陽を見ることがほとんどないというようにきわめて不順であり,調査には困難もあったが,ほぼ所期の目的を遂げることができた。 2年間の現地調査を通して,自然村落の現状の実態とそこで行われている生業活動の歴史的な展開についての大まかな把握はできたが,より詳細な実態の把握のためには,一地点に長期に滞在して生活の様相を民族学的に調査する必要が出てきた。前回の調査では一集落に2〜3日,やや詳しい調査を行った今回の調査でも一集落あたり5日ほどである。すくなくとも一か月近く一つの集落に逗留し,日常の生活を観察する個別調査を行うことが望まれる。これは来年度に実施する予定である。 昨年度に開始した公文書調査はロシア側の研究者により継続している。これも膨大な十分に整理されていない資料があるために,調査の進行は必ずしも順調ではないが,ある程度の見通しは得られている。
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