研究概要 |
各国の共同研究員と連絡を取りつつ会生物学(行動生態学)の理論がさまざまな国でどのように受け入れられてきたかについて、、聞き込み調査と文献調査によるデータ収集をおこなった。対象とした国は、ドイツ、アメリカ、オランダ、韓国、ロシアである。中国ラテンアメリカ諸国についてもと予備的な聞き取り調査をおこなった。とくに日本の状況との比較検討を試みた。その結果、当初はダーウィン進化理論そのものへの反感、とくに人間について社会生物学的に説明する試み強い反感が存在していたという共通点がみられた。一方で、社会生物学が導入された時点での進化生物学を始めとする生物学関係のインフラの成熟度が受容に影響するなど、いくつかの相違点が明らかになった。文化進化論的にいえば、生態環境と系統的制約が受容のパターンに大きく影響しているということになる。 人類学と生態学、政治学、哲学などの人文系諸学における社会生物学の影響についても、一定の知見を積み重ねることができたが、生物学以外の諸分野に、進化理論や社会生物学がどのような影響をあたえたかについてはさらなる調査が必要である(2000年度の科研費に申請中)。人類学は生物学的なアプローチと社会科学的なアプローチが混在するフィールドであり、社会生物学は前者の陣営に属する。社会生物学や進化理論の影響という点を別にしても、自然科学と社会系諸科学の交錯するところとして注目される。 外国人研究協力員は以下のとおりである。Evelyn Ono Vineberg(USA),David Hull(USA),Michael Ruse(Canada),Philippe Chavot(France),Vincet Falger(Netherlands),崔在天(韓国),李ビュンフン(韓国),李建慧(中国)。
|