研究課題/領域番号 |
09044019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
今井 弘道 北海道大学, 法学部, 教授 (00093188)
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研究分担者 |
安田 信之 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (00242884)
中村 睦男 北海道大学, 法学部, 教授 (30000665)
鈴木 賢 北海道大学, 法学部, 教授 (80226505)
厚谷 襄兒 帝京大学, 法学部, 教授 (90222637)
稗貫 俊文 北海道大学, 法学部, 教授 (70113610)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 韓国経済法 / 大規模企業集団 / WTO体制 / 競争原理 / 日韓法文化 / 西欧普遍主義 / アジア的価値 / ポスト近代 |
研究概要 |
今まで、本研究会で報告された諸論文に通底する観点は、グローバリズムの潮流が支配する国際社会のなかにあって、日韓それぞれが自らの文化的・国家的なアイデンティティをいかにして保持するのかを法哲学あるいは経済法という切り口から摸索することであった。経済法研究班では、韓国の経済法が近時、対財閥規制の競争法として機能していることを明らかにした。韓国が97年の経済危機を回避すべくIMFから経済支援を受けると共に、抜本的な経済構造の改革を半ば強制的に強いられた。同法では、大規模企業集団(財閥)の同族的会杜支配と前近代的な取引慣行がその規制の対象となった。だが、そうした韓国経済の体質は儒教的な家族制度と地縁的な集団主義に基づいており、単純にアメリカを中心とした西欧標準に向かうことは期待できない。そこには、制度的な次元だけではなく、法哲学的に重大な問題性が潜んでいた。すなわち、韓国はWTO体制の下で貿易と資本の自由化に向かうほかにないとしても、その移行は、一方で伝統的な文化を負と捉えてそれを解体した上で、より普遍的な基準にしたがってなされるべきなのか、それとも逆に伝統文化を積極的に捉え直して独自の競争原理を作り上げるべきなのかというアンビヴァレントな課題である。日本でも現に同様な課題に直面している。 法哲学班では、この課題を単に二者択一的に捉えるのではなく、この課題が表出せざるを得ない日韓の法文化的な要因を解明しようとした。こうした作業を通じて<西欧普遍主義〉と<アジア的価値>を共に相対化しつつ、東アジアにおいて<ポスト近代>を脱構築しうる可能性を見出したのである。この知見は、日韓の法文化を考察するに当たって、法意識や法哲学といった基礎的な領域だけでなく、敢えて経済法という法制度をも具体的な視野に取り込んだことにより得られた成果でもある。
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