研究課題
国際学術研究
本年度の課題は、グローバリゼーション過程の強化と国民国家との軋轢を、「多文化主義」に関わる問題を中心として、取り上げることにあった。7月に台湾から陳光興、オーストラリアからイエンアング(IEN ANG)の2人を招待して行ったワークショップでは、陳がアジアにおけるグローバリゼーションの拡大と東アジアナショナリズムの問題を取り上げたのに対して、アングは、オーストラリアの中での白豪主義(ポ-リーン・ハンソン)の問題の広がりを展開した。両者の議論並びにテッサ・モリス-スズキや吉見俊哉らのコメントおよび当日の議論は、酒井直樹による両者の論争の背景の解説と共に、単行本として出版予定出ある(未来社)。また、多文化主義が国策として展開されているオーストラリアの事例と、いわゆる多文化主義政策から最も遠い存在としての日本との比較という観点から、、オーストラリアの日本研究を中心とする東アジア研究者との交流を図った。を代表とした日本側研究者は、メルボルンのモナッシュ大学、キャンベラのオーストラリア国立大学を訪問し、またメルボルンでは、メルボルン大学において開催されていたオーストラリア・カルチュラル・スタディーズの研究会に参加した。日本側研究者の報告は、各々の分野で日本研究が抱える問題状況について行い、オーストラリアの東アジア研究ならびにオーストラリアの問題状況を交えた議論を行った。こうした議論の中から、アボリジニ-研究と日本のアイヌ研究、白豪主義と日本の植民地政策、アジア人移民の増加に対する移民政策の比較など、今後の課題として浮上した。
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