研究課題
基盤研究(A)
多文化主義は、グローバリゼーションの浸透とナショナリズム台頭に対する、ひとつの政治的妥協としての意味を持って登場した。プロジェクトの目的は、社会科学と人文科学の諸分野の学際的研究によって多文化主義の政治性を明らかにすることにあった。初年度に「多文化主義とナショナリズムの相克」をテーマとするワークショップを開催し、海外からI.アングと陳光興の両氏を招聘した。オーストラリアの多文化主義をアメリカと比較し、両国の歴史的背景ならびに国際政治上の差異とアジア系移民の増加による「アジア化」への恐怖という共通性との、2つの点をめぐって議論を展開した。ワークショップの研究成果は、『グローバリゼーションのなかのアジア』(未来社)として公刊した。2年度には「変動するアジアとサバルタン研究」をテーマとして、民衆の歴史意識を問い直すという観点から、チャクラバルティを招聘し、歴史を記述することの意味を再検討するとともに、ヨーロッパの歴史の相対化について討論した(報告書第2部)。3年度には、「グローバリゼーションとアジア」をテーマとしてオーストラリアの研究者との間で研究会を開いた。近代における境界の形成と文化、戦時動員体制期における宗教
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