研究課題
本研究の目的は、中国「改革・開放」下で、復活したかに見える中国と華人世界(主として東南アジア)の関係の実態を明らかにすることにある。この目的にそって、初年度である本年は、(1)東南アジア華人のアイデンティティの現状をさぐること、(2)中国側から海外華人とその(祖先の)故郷(僑郷と呼ばれる)の関係を調査することを試みた。(1)については、田中(研究代表者)をベトナム、マレーシア、シンガポール、香港、中国に、田村(研究分担者)をマレーシア、シンガポール、台湾に派遣し、共同研究者との打合わせ、文献およびインタビュー調査を行った。さらに、共同研究者レオ・スリャディナ-タ(シンガポール)、タン・リォクイー(マレーシア)、チャウ・チ・ハイ(ベトナム)の各教授を招へいし、東南アジア諸国における華人の地位やアイデンティティに関する研究報告、討論および打合わせを行った。(2)については、田中を香港および中国に派遣し、インタビュー調査を行い、また、厦門大学南洋研究院の庄国土教授らと共同で、福建省晋江市において僑郷社会調査を開始した。この調査は、僑郷が海外華人とどのように交流し、彼らからどのような影響を受けて、どのように変化しているかを調査するもので、すでに部分的なデータが出ているが、現在もなお続行中である。なお、共同研究者との打合わせおよび文献調査のために吉崎誠(立命館大学大学院、研究協力者)を英国に派遣した。
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