研究課題
「改革開放」の20年間に、中国と華人世界(主として東南アジア)は、急速に結びつきを強めているが、この両者の関係の実態を明らかにすることが、本研究の目的である。最終年度である本年度は、昨年度の調査研究に基づき、(1) 東南アジア華人のアイデンティティの現状について研究を続行すると同時に、成果の一部を発表し、(2) 中国福建省・広東省の僑郷における聞き取り等の調査を続行した。本革度はとくに、「アジア経済危機」のインパクトに注意を払った。(1)については、田中(研究代表者)、荒井(研究協力者)を中国・香港に派遣し、福建省で開催された国際シンポジウムにおける研究報告、北京・上海の僑務関係者のインタビュー調査および香港の研究者との交流を行った。また、共同研究者ホァン・ジェンリー(シンガポール国立大学)助教授を招聘し、シンガポールを中心に東南アジア諸国の華人について研究報告、討論、および打合せを行った。(2)については、田中・荒井を中国福建省・広東省に派遣し、文献およびインタビュー調査を行うとともに、厦門大学南洋研究院の庄国土教授・趙文留教授らと共同で行っている僑郷社会経済調査を続行した。同時に、昨年度來の調査データの整理を行った。また、この調査に携わってきた2人の共同研究者、趙文留教授・李一平講師を招聘し、研究報告、討論、打合せを行った。なお、田中を英国・オランダに派遣し、共同研究者と本研究全体の総括を行い、評価を聞くとともに、今後の研究の展開などについて、情報・意見の交換を行った。
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