研究課題
本年度は、昨年度開催された東京会議ならびにシンガポール会議の成果を受けて、イギリスのバーミンガムで会議を開いた。東京会議では、4カ国(アメリカ・イギリス・シンガポール・日本)の文化政策、特に、芸術政策の違いないし特色を明らかにすることに主眼点が置かれた。そして、次のシンガポール会議では、議題が2つあり、一つは、欧米とは異なる、アジアの文化政策の典型として、シンガポールの文化政策を理解することに重点が置かれた。それから、もう一つは、4つの文化政策をどのように比較するか、その方法論が議論された。これらの成果を受けて、バーミンガム会議では、文化政策を芸術政策とそれ以外の文化政策(たとえば、メディア文化やポピュラー文化など)とに分けて、前者は、〈decentralization〉を共通の基準として、後者は、〈cultural globalization〉を中核として分析を進めていくことを決定した。この会議では、イギリス、特に、バーミンガムの文化政策を理解することにつとめると共に、最近の〈decentaralization〉の動向をフォローすることに力点が置かれた。それと同時に、アメリカの文化的影響を、文化的帝国主義あるいはメディア帝国主義と位置づけ、映画産業・テレビ産業・音楽産業などについての報告がメンバーからなされた。また、イギリスのBBCからもゲストを招き、イギリスの現状について報告を受けた。この成果を受け、来年度は、アメリカ合衆国のニューヨークで最後の会議を開催する予定である。その用意はすでに終わっており、近代美術館関係者・メトロポリタン美術館関係者などを招き、比較の意味・今後の展開などを話し合う予定である。最後に日本側の研究チームの活動についてふれておきたい。本年度は、9回の研究会を開催し、多くの関係者の話を聞いた。その理由は、現代日本の文化政策を分析した英語論文を来年度のニューヨーク会議に合わせて執筆するためのもので、その成果が期待できる。
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