研究課題/領域番号 |
09044040
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
矢野 敬生 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40200555)
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研究分担者 |
堀口 健治 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (80041705)
吉沢 四郎 中央大学, 商学部, 教授 (90055088)
柿崎 京一 宇都宮大学, 教育学部, 名誉教授 (00041799)
小玉 敏彦 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (80178285)
林 在圭 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (80318815)
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キーワード | 家族:家・チップ・家庭 / 親族:同族・門中・宗族 / 祖先祭祀 / 近隣:ムラ・マウル・自然・村落 / 労働組織:ユイ・プマシ / 土地所有 / 民間信仰:自然神・地縁神・氏神 / 地域統合 |
研究概要 |
本研究の目的は、共通の漢字・儒教文化圏の中核をなす日本・中国・韓国を対象にして、(1)社会学・文化人類学的実証研究法を駆使して、(2)三国の民族社会の構造・文化的特質を明らかにし、(3)三国の比較研究をとおして民族社会の異同を析出することを目指している。そこで本研究では、三国の民族社会の基礎構造を解明するために、(1)文化的伝統を比較的濃密に保持している村落社会(具体的には(日)長野県富士見町瀬沢新田、(中)中国山東省莱蕪市房幹村、(韓)韓国忠清南道唐津郡桃李里)を対象として、(2)参与観察にもとづくフィールド調査を実施し、(3)研究のプロセスとしてはそれぞれの民族社会の核となる基層文化を把握するための社会・文化的範疇としてI.家・家族・同族・宗教、II.土地、労働関係、III.信仰・地域統合を設定した。 三国における研究遂行の暫定的な結果として、(1)中核的な文化概念が同一の漢字(例えば家族・同族・村落)で表現されていても、それぞれのもつ意味内容は明確に相違しており、概念を再規定しなおす必要がある。(2)日本のような定住型社会と中・韓国のような移動型社会とでは「村落」およびそれに基づく人間関係のあり方、村落祭祀、同族関係の様相が大いに異なっている。たとえば(3)日本の基礎構造が「ムラ」的地縁関係に規定される固定的な「入れ子型」体系をなすのに対して、韓国においては「ウリ」概念にみられるように伸縮自在の可変性を特徴としている。こうした特徴は土地・労働慣行においても同様である。また(4)日本の場合はムラを基盤として共同祈願的志向が強いのに対して中・韓国では個人的祈願の志向が強い。ただし、今回は個別のフィールド調査に力点がおかれたために、三国の基層的文化構造の比較という側面はむしろ今後の課題として残されている。
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