研究課題
本国際共同研究では、フラクトン・ダイナミクスに対するこれまでの知見をもとに、アモルファス物質の非平衡・非線形現象を系統的に理解することを目的とする。特に、局在振動の非線形ホッピングによる熱伝導や非調和崩壊のメカニズムを解明する。本研究において、アモルファス物質の動的性質を理解するための新しいモデルが提唱された。このモデルに基づき、スーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーションを行った。その計算結果および理論解析からアモルファス物質の低振動数ダイナミクスに対する統一的描像を得ることができた。特に、アモルファス固体に共通した現象の一つであるボソン・ピークの起源を明らかにすることができた。ボソン・ピークの起源を明らかにすることができた。ボソン・ピークとは、50cm^<-1>付近のエネルギー帯に見られる非弾性光(中性子)散乱強度の瘤であり、その起源の解明のためにこれまで多大な努力がなされてきたが、これまで統一的な理解には至ってはいなかった。本研究では、このボゾン・ピークの起源が極めて短い局在長を有する局在振動であることを明らかにした。さらに、アモルファス固体の非弾性光(中性子)散乱強度には、分散を有する高エネルギー励起が存在することを予測した。この理論的予想は、最近行われた非弾性中性子散乱実権により、検証された。これらの結果を得るために、武漢大学(中国)のTian教授と議論・検討を行った。さらにカリフォルニア大学リバーサイド校(米国)のOrbach教授との共同研究により、この局在振動に非線形ホッピング伝導による熱伝導メカニズムについて研究を行った。
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