研究課題/領域番号 |
09044061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早野 龍五 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126148)
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研究分担者 |
EADES J. 欧州原子核研究機構, 上級研究員
KORENMAN G.Y モスクワ大学, 原子核研究所, 上級研究員
山崎 泰規 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30114903)
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キーワード | 反陽子 / 反陽子ヘリウム原子 / エキゾティック原子 / Protonium / レーザー分光 / 原子衝突過程 / パルスビーム / CERN |
研究概要 |
本研究では、1999年よりCERN研究所で稼働を開始する低速パルス反陽子源、AD(Antiproton Decelerator)を用いた研究に向けて、実験・理論両面から低速反陽子物理の検討を行った。研究の2年目にあたる本年は、特に、l.CERNのLEARで収集した反陽子ヘリウム原子に関するデータの詳細な解析と、実験結果と理論の比較、2.Protonium(反陽子と陽子で構成された原子)分光等、LEARでは不可能であった新たな実験の検討、の2点を集中的に行った。 1. 反陽子ヘリウムのレーザー共鳴周波数が媒質のヘリウム密度に依存することを見い出した。したがって、実験値を反陽子ヘリウムの量子三体理論計算結果と比較するためには、実験値をゼロ密度に外挿する必要がある。597nmと470nmの共鳴線について外挿を行ったところ、理論値と2ppm以内で一致した。我々はこの結果を用い、反陽子の電荷および質量を、従来の精度である50ppmから0.5ppmへと2桁高めることに成功した。また、共鳴線の密度シフトと幅の変化に関する理論研究を進めた結果、シフト・巾の双方について、定量的な理解に達した。 2. Protoniumの生成とレーザー分光手法の開拓を行った。Protoniumは2体系であるので、反陽子ヘリウム原子と異なり三体量子計算の助けなしに反陽子質量等を精密に決めることが可能である。我々は、ADで得られる5MeVのビームを線形減速器(RFQ)と反陽子トラップを用いて30eVにまで減速し、これを水素原子標的に衝突させてprotoniumを真空中に生成し、そのレーザー分光を行う手法を提案した。
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