研究課題/領域番号 |
09044066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武藤 誠 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70281714)
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研究分担者 |
佐々木 宣哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20302614)
松井 稔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (50282611)
セルディン マイケル カリフォルニア大学, デイビス校・生化学部門, 教授
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キーワード | 精巣 / 染色体マッピング / マウス / 大腸がん |
研究概要 |
共同研究者の伊藤らは、精巣特異的なtranscription elongation factor S-II(SII-T1)をクローニングした。SII-T1は、spermatocyteにのみ発現することが確かめられている。伊藤はl29/Svmouse genomic libruyから、SII-TIのgenomic fragmentをクローニングし、その遺伝子構造を明らかにした。武藤とセルディンは、昨年度の手法と同様、interspecific backcross miceにおけるrestriction on fragment lcngth variantsを用い、染色体上の位置を決定した。その結果、SII-T1は第2染色体上にあることが判明した。SII-T1と近い位置に未知の原因遺伝子が存在すると想定される形質としては、tumor suppressor region3(Tsp3)、flecking(fc)、ragged(Ra)がある。またヒト染色体で対応する部位は20q13であるが、この部位は、testicular germ cell tumorで変異していることが知られているので、今後関連を調べる意義があると考えられる。 共同研究者の高久らは、TGF-βのシグナル伝達分子の一つであるDpc4(Smad4)のgenomic fragmentをクローニングした。前項の方法と同様に、マウス染色体上での位置を決定したところ、第18染色体上でApc遺伝子と30cMの距離に存在することが判明した。そこで、Dpc4とApcが同じ染色体上にあることを利用して、腸管ポリプでのみこれら二つの遺伝子が欠失する変異マウスを作成したところ、腸管にsignet ring cellを持つ悪性の癌が発生した。Dpc4はヒトの大腸癌で欠失していることが知られていたが、我々はこのように、Dpc4が癌抑制遺伝子として働くことを直接的に証明することに成功した。
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