研究概要 |
地震の短期予知では電磁気現象が有力な候補であることが近年示されている。色々な周波数での前兆現象のうち,歴史は短いが,大変有望なものがULF放射である。本研究では地震ULF波に関する信頼出来るデータを蓄積し,その発生・伝搬機構を解明することを目標としている。 本年度の研究対象は(1)トーション型磁力計の更なる改良と信号処理システムの開発及び(2)日本国内でのULF波の観測とデータ収集である。先ず,国内の地震活動の高い(a)伊豆地方と(b)千葉県地方にそれぞれ三点の観測点を設置し,微分型アレイによる観測を開始している。伊豆地方に設置後沼津においてマグニチュート4の地震が発生し,伊豆の磁力計に地震ULF波が顕著に受信された。特に,Z/G(Zは磁界の鉛直成分,Gは水平成分)>1という特長を示している。連続観測により信頼出来るデータを蓄積する。これらの観測と平行して,過去の大地震の際の磁界変化の調査も行った。1993年8月のグアム地震,インドネシア地震,九州地震のデータを用いている。従来の我々の統計解析に加えて,フラクタル解析も導入している。このフラクタル解析により,地震に伴ない発生するULF波の発生機構の解明にも寄与する事が期待される。
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