研究概要 |
地震の短期予知では電磁気現象が最も有力な候補であることが近年示されている。色々な周波数での前兆現象のうち,歴史は浅いが,大変有望なものがVL放射である。本研究では地震VLF波に関する信頼出来るデータを蓄積し,その発生の伝搬機構を解明することを目標としている。 本年度の研究対象は(1)トーション磁力計の更なる改良と信号処理システムの開発及び(2)日本国内(伊豆,千葉)でのVLF観測の継続とデータ収集である。先ず,国内の地震活動の高い伊豆,千葉地方には距離5〜10km離れた三点での微分方アレイが設置され,観測を続けている。伊豆の群発地震の際には地震の前兆と考えられるVLF信号が検出されている。特に,我々が発見したZ/H(Z,Hは磁界の鉛直成分と水平成分)を用いると地磁気脈動と地震VLF波との分離が容易になることが判明した。更に,世界の多くの大きな地震(グアム,ビィアクなど)に対して同様の解析から前兆VLF波が検出されている。特に,フラクタル解析をはじめて駆使したが,この信号解析も震源でのself-organized criticalityを調べるのに極めて有用であることがわかった。更に,伊豆地方でのVLF観測に基づいて前兆信号の場所を同定する方位測定も行いつつあり,近々その結果が出ることを期待している。
|