研究課題/領域番号 |
09044075
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
政池 明 福井工業大学, 工学部, 教授 (40022587)
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研究分担者 |
PENTTILA S. ロスアラモス国立研, 研究員
ROBERSON R. デューク大学, 物理学部, 教授
BOWMAN D. ロスアラモス国立研, 主任研究員
清水 裕彦 理化学研究所, 研究員 (50249900)
舟橋 春彦 京都大学, 理学研究科, 助手 (00283581)
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キーワード | 偏極陽子 / 低速中性子 / P波共鳴 / ヘリシティ非対称 / ナフタリン / ペンタセン / 空間反転 / 時間反転 |
研究概要 |
本研究の目的はまず低速中性子の共鳴吸収反応における空間反転の破れを系統的に測定し、そのヘりシティ非保存増幅の起源を探求することにある。またその増幅による時間反転非保存の測定の可能性を調べることも目標の一つである。 本年度は一連の計画の最終年度にあたるため測定したデータの解析、他の方法による結果との比較検討、実験結果の普遍性についての吟味等を主として行い、その成果を論文および報告として発表した。 特に中性子を^<232>Th,^<238>Uなどにあてたとき多数のp波共鳴で大きな中性子へりシティ非対称があることを見出し、その非対称を統計的に処理した結果、weak spreading widthが約10^<-7>eVとなることを確認し、他の標的核を用いた場合とほぼ一致することを見出した。 また中性子がLa核を透過する際の中性子スピン回転角のデータ(平成9年度測定)を解析し、へりシティ非対称のデータより得られた結果と一致することを見出した。 一方、La核を希釈冷凍器中で動的に偏極する方法を確立し、約70%の偏極に成功した。これは時間反転の破れの測定に役立てられる。さらにペンタセンをドープしたナフタレンにレザービームを照射してペンタセンを三重状態に励起させてマイクロ波で陽子を動的に偏極させる方法を確立し、中性子ビームの偏極や有機物質の構造決定に大きな役割をはだすことを確認した。 本年度得られたこれらの研究成果は時間反転、空間反転の対称性の破れに関する新しい研究を進める重要なステップになるはずである。
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