研究課題/領域番号 |
09044077
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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研究分担者 |
JAGOD MaryーF シカゴ大学, エンリコフェルミ研究所, 研究員
OKA Takeshi シカゴ大学, 化学科, 教授
若林 知成 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273428)
志田 忠正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60025484)
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キーワード | 固体水素 / 量子固体 / レーザー分光 / 赤外分光 / 高分解能分光 / 励起子 / 分子イオン / 結晶場 |
研究概要 |
固体パラ水素は、分子間相互作用が小さく、エネルギーの状態密度が粗なため、水素分子あるいは固体中に捕捉した分子の振動回転状態が量子化され、そのスペクトル線幅が他の媒質に比べて極端に狭くなるなるという特徴をもっている。このため、固体水素中の水素自身およびその中に捕捉したゲスト分子の高分解能分子分光が可能となる。本研究の目的は、固体水素のこの特徴を最大限に活かすことによりこれまで不可能であるとされてきた固体などの凝縮相における超高分解能分子分光法を開発し、凝縮相中での分子の振動・回転・電子状態や分子間多体相互作用を明らかにする事にある。本年度は以下の成果を得た。1)固体パラ水素中に微量に存在するオルト水素のペアの振動回転励起を高分解能分光の手法により観測し、その同定を行うとともに固体水素の結晶場の影響を詳細に明らかにした。2)固体パラ水素中の第2高調波の観測を行い、この励起状態が完全に局在していることを明らかにした。一方、第1高調波の観測から、v=2励起状態では励起子が固体内に部分的に広がっていることを明らかにし、その解析から振動励起状態間の相互作用を定量的に求めた。3)放射線照射した固体水素の赤外分光スペクトルから、放射線照射により固体内に分子イオンを生成できることを確認した。また、外部電場を与えるシュタルク変調法を用いると、イオン及びその周りの分子の超高感度・高分解能分光ができることを明らかにした。この手法を用いることにより固体中の分子イオンの高分解能分光という新しい分光が可能であることがわかり、今後さらに研究を進めていく予定である。
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