研究課題
京大での2次元偏極水素(H↓)冷却の成功がきっかけになり、超流動ヘリウム面上に吸着された2次元H↓研究が活発になり、2次元H↓の超流動(Kosteritz-Thouless転移と云われる)探索が続けられている。現在K-T転移に極めて近い所にある。本研究の目標はESRを用いた2次元H↓のシグナルの直接観測と、冷却機構を解明して、K-T転移を探索することにある。(1)4Tの磁場で安定化したH↓の120〜140GHzのESRの観測に成功した。京大においてESR装置の一部手直しを含めESR装置の最適化を行っている。(2)Kurchatov研究所と共同研究を続けてきたTurku大のJaakkalaが本共同研究に加わり、京大-Kurchatov研-Turku大による強力なメンバーの共同研究態勢が確立した。Turku大では磁気針を用いて局所的に大きな磁場を発生させ2次元H↓を圧縮し、K-T転移を達成し、3体再結合係数が急激に減少したと発表した。京大では局所的な冷却スポットに吸着されたH↓に対して同様な結果を得ているが、多くのパラメータを含む間接的な解析によるので、ESRによるH↓の直接観測が緊急課題である。(3)本年度は京大においてファブリーペロ-型130GHzのミラー共振器を開発しミラーの焦点に2次元H↓を配置した形状で2次元H↓のESRシグナルの観測を目指し、現在シグナルを探している。(4)本年度は水崎と福田(博士課程院生)がフィンランドのTurku大に行き、京大と相補的な実験である局所磁気圧縮法による2次元H↓の圧縮実験に参加し、併せてTurku大と京大との共同研究分担の打ち合わせを行った。9月にKurchatovのYasnikovが京大に1ヶ月滞在し、ESRのテストを行った。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)