研究課題
本研究では、光の放射圧を駆使して従来と全く異なる新しい分子集合構造の形成を図り、その構造の特性をレーザー分光により明らかにすることにより、光圧化学ともいうべき研究分野の開拓をめざした。本年度は特に下記について検討した。ミクロ環境プローブとして新しい分子内CT性分子を合成および構造解析し(奈良女)、その光化学、光物理的特性の解析を行った(ルーバン大)。放射圧によりその集合体形成が可能であると予想されたアクリルアミド系高分子にフェナントレン誘導体化合物をペンダントした共重合体を合成し(奈良女)、希薄溶液中での単一光子計数法による時間分解蛍光測定を行った。(ルーバン大)顕微鏡下、近赤外レーザー光を上記化合物をペンダントしたアクリルアミド系高分子水溶液に照射し、放射圧効果のみが起こる重水中では集光スポット程度の大きさの集合体形成に成功し、放射圧効果に加え、光熱効果の起こる水中では、集光スポットの大きさをはるかに上回る10μm以上の集合体を形成することに成功した。(阪大、奈良女)三次元空間分解・時間分解蛍光分光法により、集合体内の各ポジションにおける上記化合物の蛍光スペクトル、蛍光減衰波形を測定した。上記蛍光特性の知見に基づき、集合体内部のミクロ環境を解析した結果、傾斜構造を持つ新しい微粒子であることが明らかとなった。(阪大、奈良女)さらに、今後の展開として、放射圧形成微粒子の近視野光学顕微鏡(NSOM)による解析の可能性について討議した。(阪大、ルーバン大)
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