研究課題
96年の初フライトで収集した超伝導JACEEの原子核乾板データを使い、高エネルギー原子核衝突の機構解明に向けた研究をスタートするために、杉立徹と笠井聖二は8月中旬から米国3研究機関を訪問し、高橋義幸(UAH)、J.ウィルケス(WU)、T.パ-ネル(NASA)、M.チェリー(LSU)他と会見し、研究方針・手段、測定技術・改良点について意見交換した。その結果、H.ウィルチンスキー(クラコウ原子核研究所)の解析現状をスタートポイントにし、UAHの全自動写真データ解析装置を使って解析を継続し、準備が出来次第順次、広島大学および岡山理科大学へ移行するのが最善策であるとの結論を得た。杉立徹は10月クラコウ原子核研究所(ポーランド)を訪問し、原子核衝突機構解明の研究へ向けた写真データ解析状況および方針について、H.ウィルチンスキーとB.ウィルチンスカと意見交換した。その結果、同研究所で行ってきた解析をお互いに協力して更に推進していく合意を得た。1次宇宙線の大気上空における崩壊補正量を定量的に評価するため、8月中旬から9月中旬にかけ富永孝宏と大学院生2名をUAHへ派遣した。W.フォンテイン(NASA)他と共同してシミュレーション計算コードの構築と計算を行った。96年のデータ解析状況の総括的な評価、今後の研究方針、および責任分担体制を検討するため、M.チェリーとH.ウィルチンスキーを招聘し、広島大学理学部において共同研究全体会議を12月9日から12日まで開催した(参加者:国内10名、米国4名、ポーランド1名)。この間、JACEE実験データの解析と研究成果公表作業も精力的に行い、1編の論文を投稿(現在印刷中)および4編を国際会議(第25回宇宙線国際会議および第6回素粒子原子核国際会議)へ寄稿した。
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