研究概要 |
1.ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン[Fe(CN)_6]^<3->とビス(ジアミン)ニッケル(II)[Ni(L)_2]^<2->との1:2反応で[Ni(L)_2]_2[Fe(CN)_6]X・nH_2O(L=pn,1,1-dmen;X=C1O_4^-,BF_4^-,PF_6^-)を合成した。[Fe(CN)_6]^<3->が平面上の四つのシアン窒素でtrans-[Ni(L)_2]^<2+>の軸位に配位して、碁盤目状の2次元シートを形成している。これら伸展型錯体はいずれも低温において自発磁化を示し、メタ磁性体とフェロ磁性体に分類される。この二つのグループのバルク磁性はシート間の距離に依存して、シート間距離が10Åよりも短いときはメタ磁性、10Åよりも長いときはフェロ磁性となることをX線結晶構造解析から明らかにした。 2.ヘキサシアノ鉄(II)酸イオン[Fe(CN)_6]^<4->と[Ni(L)_3]X_2の3:1反応で[Ni(L)_2]_3[Fe(CN)_6]X_2(L=en,tn;X=C1O_4^-,PF_6^-)を得た。[Fe(CN)_6]^<4->は全てのシアン窒素で[Ni(en)_2]^<2+>のトランス位に配位して、立方体ユニットからなる3次元ネットワークを形成している。鉄(II)が反磁性であるために自発磁化の発現には至らないが、反磁性の鉄を介してニッケル(II)イオン間に強磁性的相互作用を見出した。 3.π性有機架橋配位子として1,2-ビス(2-ピリジル)-4,5-ジシアノピラジンを合成し同定した。これは銅やニッケル等の二価金属イオンを橋架けすることを確認した。 4.新規橋架け基として、アセチルアセトン部分とピラゾール部分を分子内に有する双性配位子3-(3,5-ジメチル-4-ピラゾリル)アセチルアセトンを合成した。その銅(II)錯体を合成して構造決定を行った結果、アセチルアセトン部分が銅の面内に配位し軸位に隣接分子のピラゾール窒素が配位して一次元伸展構造を与えることを見い出した。また、2,2′-ビピリミジンとハイブリッドさせることで二次元シート構造の集合系を得た。
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