研究分担者 |
ERDMANN Ralf ルール大学, 生理化学研究所, 助教授
KUNAU WolfーH ルール大学, 生理化学研究所, 教授
RACHUBINSKI リチャード アルバータ大学, 医学部・解剖学/細胞生物学科, 教授
田村 茂彦 九州大学, 理学部, 助手 (90236753)
原野 友之 九州大学, 理学部, 助手 (80037275)
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研究概要 |
新規ペルオキシソーム形成因子Pex5pの機能並びにPex2p(PAF-1)の膜トロポジ-解析: 私たち独自に分離したペルオキシソーム欠損性CHO変異細胞のうち相補性群IIおよびIII群に属するZP105/ZP139およびZP109それぞれを用いたペルオキシソーム形成因子の解析を行った。II群の相補遺伝子CHOPEX5(PTS1Sグナルレセプター)をクローニングし,ZP105およびZP139細胞における表現型とPEX5変異の解析など細胞生化学的検討を行った。その結果,ペルオキシソーム形成因子Pex5pはPTS1タンパク質のみならずPTS2タンパク質の輸送にも関わることが明らかになった。これら哺乳動物系における成果を酵母(Saccharomyces cerevisiae)系でのPex5pとの構造並びに機能比較をルール大学Kunau教授とも情報交換・討議した結果,PTS2タンパク質輸送へのPex5pの関与は哺乳動物系独自の知見であると結論した。 私たちがペルオキシソーム形成因子として初めてクローニングしたPAF-1(Pex2p)のペルオキシソーム膜におけるトロポジ-を領域特異的抗体やプロテアーゼ処理法を用いた検討を行った結果,ラットPex2pはN末端側,C-末端側共に細胞質側へ向けたトロポジ-を有する膜タンパク質であることが明らかになった。この知見を酵母(Yarrowia lypolytica,Yl)系でのPex2pを研究しているRachubinski教授グループの成果と比較すると,YIPex2pはC-末端側を細胞質,N末端側をペルオキシソーム内に向けたトロポジ-をもち,しかもN末端側領域に糖鎖修飾を受けているという新しい知見を見出している。この点,この酵母系特有の現象か,哺乳類Pex2pとの共通性があるのか,またその機能解明はペルオキシソーム生合成の初期段階の解明にもつながることから,現在Rachubinski教授との討議を進めている。
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