研究分担者 |
ERDMANN Ralf ルール大学, 生理化学研究所, 助教授
KUNAU WolfーH ルール大学, 生理化学研究所, 教授
RACHUBINSKI リチャード、エイ アルバータ大学, 医学部・解剖学・細胞生物学科, 教授
田村 茂彦 九州大学, 理学部, 助手 (90236753)
原野 友之 九州大学, 理学部, 助手 (80037275)
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研究概要 |
ペルオキシソーム形成因子(Peroxin)のクローニングとペルオキシソーム病患者異常遺伝子解析: ペルオキシソーム形成異常酵母相補遺伝子を用いたexpressed sequence tag(EST)search法によりPEX10,PEX16ヒトホモログをクローニングすることができた。これらはそれぞれ,CHO変異細胞がまだ分離されていない相補性群B(VII)およびD(IX)群の患者由来線維芽細胞に対しペルオキシソームの形成を回復させ,かつ患者遺伝子に変異が認められることからこの2つの相補性群疾患の病因遺伝子と断定した。ついでヒトPexl6pはペルオキシソーム局在性膜タンパク質であることを明らかにした。この知見を酵母(Yarrowia lypolytica,Yl)系でのPEX16を酵母(yarrowia Iypolytica,Yl)で単離したRachubinski教授グループの成果と比較すると,その膜トポロジーおよび糖鎖修飾を受けているという点で哺乳動物系とは異なっており非常に興味深い。この点,この酵母系特有の現象か,哺乳類Pex2pとの共通性があるのか,またその機能解明はペルオキシソーム生合成の初期段階の解明にもつながることから,現在Rachubinski教授との討議を進めている。 ヒト先天性ペルオキシソーム欠損症C群患者におけるPEX6遺伝子変異部位解析に続き,今回新たに分離したCHO変異細胞ZPl07に対しペルオキシソーム形成回復活性を有するPEX1の単離に成功した。第I群ぺルオキシソーム欠損症患児ではPEX1に変異を持つこと,患児由来PHX1変異体は相補活性を有しないことからPEX1第I群疾患の病因遺伝子であると結論した。ついでPEX1温度感受性変異は患者の臨床症状において軽症型を与えるという非常に興味深いかつ重要な知見も見出した。さらに最近,ZPl10に対し相補遺伝子PEX14の単離に成功している。この哺乳動物系における成果を酵母(Saccharomyces cerevisiae)系でのPcxl4pとの構造並びに機能比較をルール大学Kunau教授と情報交換・討議した結果,PTSlおよびPTS2シグナルレセプターであるPex5pおよびPex7pとの結合を両者で見出していることから,生化学的機能に関し分子レベルでの研究の展開が期待される。
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