研究課題/領域番号 |
09044099
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
平野 久 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (00275075)
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研究分担者 |
SALNIKOW J. ベルリン工科大学, 教授
KAMP R.M. ベルリン工業大学, 教授
佐々 英徳 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (50295507)
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キーワード | 蛋白質 / N末端保護 / アセチル化 / ピログルタミル基 / 脱保護 / アミノ酸配列分析 / 古細菌 / アミノペプチダーゼ |
研究概要 |
蛋白質のアミノ酸配列分析は、蛋白質の立体構造や機能を明らかにするためだけでなく、蛋白質をコードする遺伝子をクローニングしたり、その特性を解明する上で不可欠である。蛋白質の中には、N末端がアセチル化やホルミル化等によって保護されているものがあるが、こうした蛋白質の数は全蛋白質の50〜80%を占めている。これらの蛋白質についてはN末端アミノ酸配列をエドマン分解では決定することができない。そのため、N末端保護基または保護されたアミノ酸を除去した後、エドマン分解によりアミノ酸配列を決定できる簡便で迅速、かつ感度の高い分析技術を開発することが重要である。本年度は、超好熱古細菌Pyrococcus furiosus由来のアミノペプチダーゼを用い、ゲル電気泳動で分離した蛋白質のN末端ピログルタミル基、アセチル基等を除去する新しい技術の開発を目指した。まず、Pyrococcusアミノペプチダーゼ遺伝子を大腸菌発現ベクターに組み込み、この酵素を大量発現させた。産生されたPyrococcusアミノペプチダーゼをゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーおよびフェニルセファロースカラムクロマトグラフィーにより精製した。Pyrococcusアミノペプチダーゼはこれまで知られているアミノペプチダーゼとは異なり蛋白質のN末端が保護されている場合でもN末端からペプチド結合を順次切断する活性を有するが、プロリン(Pro)のペプチド結合を切断しない。本年度、このPyrococcusアミノペプチダーゼの性質を利用することによりPVDF膜から溶出された蛋白質の内部アミノ酸配列を分析できることがわかった。一方、この酵素がN末端の保護基を切断した直後に遊離の状態になるN末端アミノ基を、あとで容易に除去できる修飾試薬によって化学的に修飾し、脱保護された蛋白質を得ようとした。この際、フェニルイソチオシアネートとBoc-Pro-Pro-NCSをアミノペプチダーゼ消化後の化学的修飾試薬として用いたが、いずれの試薬も消化後の修飾試薬として機能しないことが明らかになった。
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