研究課題/領域番号 |
09044105
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
増田 康博 高エネルギー加速器研究機構, 中性子線源研究系, 助教授 (60150009)
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研究分担者 |
LAMOREAUX S. ロスアラモス研究所(米国), 上級研究員
BOWMAN J.D. ロスアラモス研究所(米国), 上級研究員
武藤 豪 高エネルギー加速器研究機構, 中性子線源研究系, 助手 (90249904)
石元 茂 高エネルギー加速器研究機構, 中性子線源研究系, 助手 (50141974)
森本 喜三夫 高エネルギー加速器研究機構, 中性子線源研究系, 教授 (10011579)
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キーワード | 中性子 / 時間反転対称性 / 弱い相互作用 / 超伝導 / ヘリウム3偏極 |
研究概要 |
中性子光学における時間反転の研究に必要な偏極ヘリウム3中性子偏極装置とマイスナ一型中性子スピン測定器と偏極ヘリウム3中性子偏極解析装置を製作し、中性子スピン移送ガイド磁場とともに米国ロスアラモス研究所の熱外中性子ビームライン上に設置し中性子スピン回転の基礎実験を行った。 直径3cm、長さ9cmのアルミノシリケートガラスに10気圧のヘリウムガスとわずかな窒素ガスとルビジウムを封じこめ、円偏光レーザー光照射により、ヘリウム3原子核スピンを偏極した。偏極率は20〜40%であった。この偏極率は、NMRの測定と中性子透過率の測定の両方から求めた。この性能は、中性子スピン回転の測定に十分な値である。 今回、実験用標的として、ニオブ円筒(直径〜10cm)内に金属ランタンを挿入し、ランタン核での弱い相互作用による中性子スピン回転を測定した。ニオブ円筒の上流に偏極ヘリウム3を置き、中性子スピンが偏極され、ニオブ円筒内での中性子スピンの回転は、ニオブ円筒の下流に設置された偏極ヘリウム3中性子スピン解析器で測定された。また、中性子のニオブ円筒通過時における磁場によるスピン回転を抑えるため、ニオブの円筒は、液体ヘリウムで絶対温度4Kまで冷却され、マイスナー効果により円筒内の地磁気が排除された。測定結果は、これまで、高エネルギー研で、偏極陽子中性子スピン偏極装置を用いた測定結果と矛盾していない。 時間反転の実験では、実験用の偏極標的核での核スピンや核スピン保持磁場による中性子スピン回転を精度良く測定する必要がある。今回の実験で、これに必要な情報が得られた。また、中性子スピン移送法についえも、基本的な知見が得られた。
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