磁気圏ダイナミック構造の統一モデル

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09044107
• 研究機関: 宇宙科学研究所
• 研究代表者: 西田 篤弘 宇宙科学研究所, 所長 (40013643)
• 研究分担者: 星野 真弘 東京大学, 理学部, 教授 (90241257) ; 長井 嗣信 東京工業大学, 理学部, 教授 (60260527) ; 國分 征 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (00011502) ; 寺沢 敏夫 東京大学理学部, 教授 (30134662) ; 松本 紘 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (00026139)
• キーワード: GEOTAIL衛星 / 磁気圏構造 / 磁力線再結合 / プラズマ輸送 / サブストーム / 衝撃波加速

研究概要

GEOTAIL衛星をはじめとしたISTP衛星群は、これまでの科学観測衛星に比べて高時間分解能で磁気圏プラズマ現象の多点観測を行なっており、磁気圏ダイナミックスの新しい理解に向けて、数多くの成果を挙げている。特に、これらの観測結果に基づく理論・数値シミュレーションによるモデリング研究から、巨視的磁気圏現象と微視的物理過程のよりよい理解が得られつつある。昨年に引き続き本年度も、ヨーロッパに延べ13名を派遣し、国際宇宙科学研究所(ISSI)を主な研究拠点とした研究活動を行ない、磁気圏ダイナミック構造の統一モデルに向けた国際共同研究を展開した。本年度の主な成果は以下の通り。
1) 磁気圏プラズマの流入および流出過程の研究
太陽風の磁気圏へのプラズマの流入過程、磁気圏でのプラズマ対流運動、磁気圏尾部と電離層との結合過程などを、国際宇宙科学研究所(ISSI)で展開された国際共同執筆の本にまとめ、発行を予定している。
2) 近地工・磁気圏尾部の磁気リコネクション過程の研究
サブストームに関連する磁気リコネクションは、近尾部の15-20Re程度の領域で起きていることが予想されてきたが、その発生の条件・発展の過程についてはよくわかっていない。GEOTAIL衛星と地上観測結果などを併せた統計的解析により、発生前の薄いプラズマ・シートの性質やその発展のプラズマ・ダイナミックスを明らかにした。
3) 磁気圏前面での衝撃波加速加熱過程の研究
衝撃波によるプラズマ加速加熱過程は、宇宙線の起源の問題とも密接に関連しており、重要な問題の一つとして位置付けられる.大振幅MHD波動による粒子のピッチ角散乱・エネルギー拡散が、空間次元の自由度の違いに左右されること、また高次の速度相関の重要性などについて議論した。

研究成果

• [文献書誌] K.Maezawa, et al: "The Distant Magnetotail: Its Structure, IMF Dependence, and Thermal Properties" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 1-20 (1998)
• [文献書誌] M.Fujimoto, et al: "The low-Latitude Boundary Layer in the Tail-Flanks" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 33-44 (1998)
• [文献書誌] A.Nishida, et al: "Convection and Reconnection in the Earth's Magnetotail" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 61-76 (1998)
• [文献書誌] T.Mukai, et al: "Dynamic and Kinetic Properties of Plasmoids and Flux Ropes: GEOTAIL Observations" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 117-138 (1998)
• [文献書誌] M.Hoshino: "Kinetic Ion Behavior in Magnetic Reconnection Resion" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 153-166 (1998)
• [文献書誌] H.Matsumoto, et al: "Plasma Waves in Geospace: Geotail Observations" Geophy.Monograph, Amer.Geophy.Union. 105. 259-320 (1998)