1998 年度実績報告書

非断熱遷移とトンネル現象の半古典力学的論理の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号	09044109
研究機関	岡崎国立共同研究機構
研究代表者	中村宏樹岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所 (10010935)
研究分担者	OSHEROV V.I. ロシア科学アカデミー科学物理研究所, 教授
キーワード	非断熱遷移 / トンネル / 半古典力学 / 指数関数モデル / 共鳴
研究概要	非断熱遷移において最も基本的なLandau-Zener-Stueckelberg型について我々はZhu-Nakamura理論として完全解を求める事に成功したが、Rosen-Zener-Demkovのポテンシャル非交差型をも包含する統一的理論の構築を目指して本研究を実施し以下の様な成果を挙げ、研究は現在も将来もまだ続行される。 (1) 指数関数モデルの特別な場合に対して量子力学的厳密解析解を得た。 (2) 上記特別制約条件(指数関数の前因子に関する条件)を取除いた場合について半古典力学的解析解を得た。これはLZS型及びRZD型を極限として含む形になっていて1つの統一解を与えている。数値解によって公式の良さ・限界も検証している。 (3) 上記理論の更なる一般化を試みている。 (4) 化学反応における非断熱遷移の役割についても成果を挙げることが出来た。

[文献書誌] V.I.Osherov, V.G.Ushakov, and H.Nakamura: "Semiclassical Theory of Nonadiabatic Transitions in a Two-State Experonential Model" Phys.Rev.A.57. 2672-2682 (1998)
[文献書誌] G.V.Mil'nikov, C.Zhu, H.Nakamura and V.I.Osherov: "SemiclassicalTreatment of Resonances in the Colliniar O+HO Exchange Reaction" Chem.Phys.Lett.293. 448-454 (1998)
[文献書誌] V.I.Osherov and H.Nakamura: "Analytic Solution of Two-State Time-Independent Coupled Schrodinger Equations in an Exponential Model" Phys.Rev.A.In press. (1998)
[文献書誌] G.V.Mil'nikov, O.I.Tolstkhin, K.Nobusada, and H.Nakamura: "Quamtum Reaction Dynamics of Asymmetric Exoergic Heavy-Light-Heavy systems: Cl+HBr → HCl+Br" Phys.Chem.Chem.Phys.In press. (1998)