研究課題
国際学術研究
オゾン欠損を説明する一つのモデルは、オゾンの光分解によって生成する振動励起酸素分子が周辺に存在する基底振動状態の酸素分子と反応しオゾンを再生するというものである。そこで、励起酸素分子の収率を光分解波長毎に測定した。その際、測定は酸素原子の散乱画像測定によって行ったが、酸素原子の電子軌道の偏向を考慮した補正が必須となる。そこで、電子軌道の偏向を解析する理論を、密度行列を用いた定式化によって構築した。また、成層圏オゾン層の化学において重要な、励起酸素原子O(^1D)の反応を明らかにするために、交差分子線用の励起酸素原子線源を製作した。励起酸素原子源としては、F_2レーザー(157nm)によるO_2に光分解、O_2→O(^3P)+O(^1D)によって励起酸素原子を生成し、Heと共に断熱膨張してパルスビームとする方式を採用した。酸素原子の濃度は、真空紫外レーザーを用いた蛍光励起法によって測定した。Nd:YAGレーザー励起の色素レーザーの出力をKDPによって二倍波に変換し、これをXeガスに集光することで三倍波(115.2nm)を発生した。酸素原子からの発光を真空紫外専用の光電子増倍管によって検出した結果、酸素原子の濃度は超音速噴流全体の約0.1%と見積もられた。
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