研究課題/領域番号 |
09044120
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
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研究分担者 |
SONG Insun ウィスコンシン大学, 工学部, 研究員
齋藤 玄敏 東北大学, 流体科学研究所, 助手 (70264091)
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00184664)
BEZALEL Haim ウィスコンシン大学, 工学部, 教授
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キーワード | 地殻応力 / 現位置計測 / ブレイクアウト / 岩盤応力 / 地熱 / HDR |
研究概要 |
ある一定深度で観測しているとすると、その位置での応力場は、坑井の掘進長の増大にともなって、時間とともに変化してゆく。すなわち、最初は、坑井の存在しない一様な応力場にあるが、掘進長の増大に伴って、坑底が観測位置に近づき、通過するに伴い、応力場に、坑底の影響が反映するようになる。さらに、坑底が観測位置から離れるにしたがい坑底の影響は徐々に薄れて、最終的には、観測点の応力場は、円柱状空堝を有する無限体の応力場に漸近してゆく。この応力場の変遷挙動を、直接3次元弾塑性解析することはきわめて困難である。そこで、まず、坑底から種々の距離にある断面上の応力場を近似する擬似2次元応力場を構成した。つぎに、この擬似2次元応力場を与える遠方応力を、円孔を有する無限体に負荷し、円、孔周りの応力場を弾塑性解析により解析することで、坑井掘削時の各深度ごとの応力場の変遷を解明して、ボアホールブレイクアウトの成長プロセスを明らかにした。破壊基準としてはモール・クーロンの破壊基準を用いた。得られた結果を要約すると以下の通りである。 1. 応力場の変遷は、原理的には、負荷経路に依存するが、結果的には、坑底の影響がほとんど全く現れてこない。この特性は、遠方応力場を種々変化させても保存されている。 2. 従って、現場で観測されるブレイクアウトは、上述の負荷履歴依存性には無関係に、円柱状空堝を有する無限体の応力場と同一の応力場の下で形成されたと考えて良い。 3. ブレイクアウトの幅は、弾性解析で求まる応力場から推定される幅とほとんど同一である。これは、Haimson等によって提唱されているブレイクアウト幅と地殻応力との関係に関する仮説が定量的に正しいことを示している。
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