研究分担者 |
HILLERT Mats スウェーデン王立工科大学, 名誉教授
ANSARA Ibrah 仏国ドメイン大学, 科学熱力学研究所, 所長
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
大谷 博司 東北大学, 学際科学研究センター, 助教授 (70176923)
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
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研究概要 |
次世代のオプトエレクトロニクス材料として注目されている,周期律上のIII族元素(Al,Ga,In)とV族元素(P,As,Sb)を組み合わせた化合物半導体の状態図に関して,既存のデータの収録および実験による相境界の決定を行った.実験は,In-P-Sb系のInP-InSb擬2元系状態図とこれまで報告が皆無のIn-P-Sb3元系の全組成範囲についてのDSCによる熱分析を行い液相面を決定した.また,In-Ga-As3元系については,従来の熱力学的解析によりInP+GaPの2相分離の存在が示唆されていたが,2相分離領域の試料の分析結果が均一相であったことから,2相分離が存在しないことが明らかになった. 得られた熱力学データに基づいて,In-P-Sb, Ga-P-Sb, Al-In-Sbの各3元系に関する熱力学的解析を行い,データベースを作成した.InP-InSb化合物相の固溶範囲が狭く,また,これまで共晶反応と考えられていた530℃近傍の不変系反応が包晶反応であることが明らかになった.Al-In-Sb系は,InSb-AlSb化合物間で全率固溶を示すが,180Kを臨界点とする2相分離が存在することが分かった.Ga-P-Sb系についても,これまで報告されている実験値に矛盾のない解析結果が得られた.また,いずれの3元系についても,液相面および液相/固相の平衡組成が計算可能となったことから,液相エピタキシャル成長のための有用な指針が得られた. 上記3元系以外にも,国外の研究期間が分担したGa-In-Sb, Ga-In-As, In-As-Sb, Ga-As-Sb, Ga-In-Sb等の3元系についても熱力学的解析が終了し,III-V化合物半導体の熱力学データベースがほぼ完備した.
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