研究課題/領域番号 |
09044130
|
研究種目 |
国際学術研究
|
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大塚 和弘 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50029881)
|
研究分担者 |
KIREEVA I.V. シベリア物理工学研究所, 研究員
CHUMLYAKOV Y シベリア物理工学研究所, 教授
任 暁兵 筑波大学, 物質工学系, 助手 (50292529)
大庭 卓也 帝京大学, 理工学部, 助教授 (00211110)
大嶋 建一 筑波大学, 物理工学系, 教授 (70109271)
|
キーワード | マルテンサイト変態 / 単結晶 / Ti-Ni単結晶 / 変態前駆現象 / R相変態 / Ti-Ni / Ti-Ni-Cu / Ti-Ni-Fe |
研究概要 |
本研究はこのTi-Ni合金単結晶作製では第一の実績を持つロシアのChumlyakov教授達と協力して、この合金系のマルテンサイト変態の解明を行おうとするものである。本年度は、Ti-30Ni-20Cu、Ti-48Ni-2Fe及びTi-50.8Ni合金のインゴットを日本から送り、ロシアで単結晶化したものを送ってもらったり、日本に来訪の折持参してもらい以下の研究を行った。まずTi-30Ni-20Cu合金単結晶の母相状態における弾性定数を直方体共振法を用いて初めて測定し、弾性定数c'とc_<44>が温度の低下に伴って低下するlattice softeningとしての変態前駆現象を観察することができた。又Ti-Ni合金における弾性定数の温度依存性との比較から、Ti-Ni合金における特異な単斜晶マルテンサイトの出現を、c_<44>の軟化と結びつけて説明することができた(Philo. Mag. A)。Ti-50.8Ni合金の弾性定数の温度依存性は現在測定中で、その結果は3月の日本金属学会で発表の予定である。Ti-48Ni-2Fe合金におけるB2-R相変態については冷却ホルダーを用いた電子顕微鏡の動的観察を行い、イメージングプレートを用いた精密な測定により、従来の定説とは異なって、incommensurate相はないという結果を得た(この結果は、Mater. Trans. JIMに投稿中)。同じ問題は、精密な4軸X線回折計も用いて行おうとしたが、単結晶の結晶性が悪く、この精密な測定には耐えないことが分かった。従ってこのテーマは、良質なTi-48Ni-2Feの育成から行わなければならないことになった。Ti-30Ni-20Cu合金に対しては、東海村日本原子力研究所の中性子非弾性散乱実験装置を用いて、フォノン分散関係の測定も行い、変態前のフォノン・ソフニングをこの合金で初めて見出した。ただし中性子非弾性散乱の実験には大変時間がかかるので、これ迄の実験ではマシンタイムが不十分であり、更に研究を続けていく必要がある。以上の他、Ti-Ni合金の応力誘起変態及び変形機構についても研究を行っている。
|