研究分担者 |
吉田 岳人 松下技研(株), 光エレクトロニクス研究機構, 研究員
AZIZ M.J. ハーバード大学, 応用科学科, 教授
GEOHEGAN D.B オークリッジ国立研究所, 固体物性部, 研究員
LOWNDES D.H. オークリッジ国立研究所, 固体物性部, 研究リーダー
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研究概要 |
本年度は,国際共同研究の最終年度として,次の3点に重点を置いて研究を進めた.第一はHeやArガス中でのシリコン(Si)のレーザーアブレーションで生成されるナノ微粒子のサイズ分布を詳細に調べること,第二はその形成動的過程を新手法も開発して,時間分解構造測定で調べること,第三に堆積させたナノ微粒子薄膜からの光ルミネッセンスとエレクトロ・ルミネセンス(EL)を測定して,高効率の可視発光を得るための条件,構造などを得るための実験を行うことである.今年度は,オークリッジ国立研究所とハーバード大学に日本とアメリカから研究者を派遣し,共同実験を行い,さらに各グループで進めている研究と結果の十分な議論を行うために,アメリカで合同会議を3回(アノーバー,ハーバード大学,ハワイ)開催し,研究者を延べ23人派遣して,共同研究を進めた.その結果,以下のような具体的な研究成果を得た. (1)気相中で生成されるシリコンナノ微粒子なサイズ2〜3nmのものが主であることがわかった.(2)時間分解光ルミネッセンス測定,時間分解レーリー散乱測定,それに新しく開発した時間分解レーザー分解発光分析測定によって,数100μsから約1msの間にナノ微粒子が生成されていること,それらの時間はガスの種類と圧力で変化すること,特にHeとArでは微粒子が形成される空間が異なることが明らかになった.(3)堆積膜の光ルミネッセンス測定ではSiナノ微粒子表面が酸化膜によって保護されると,熱アニール後に可視発光強度が増すことが示され,さらにレーザーアブレーションで堆積したSiOx膜からSiO2膜中に埋め込まれたSiナノ結晶構造を作製し,それが高輝度で発光するにはx=1.3〜l,4が最適の条件であることを赤外吸収測定とイオン後方散乱測定で明らかにした.SiGeナノ微粒子からなEL素子を試作し,可視発光が可能なことを示した.
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