研究概要 |
(1)高環境負荷沿岸域に関する衛星リモセン画像解析手法の一般化と応用: これまで開発してきた,光学理論と非線形最適化手法を組み合わせた衛星データ画像解析手法を,さらに,海底反射の影響の取り込み等の改良を行うことによって一般化した.また.開発された手法の妥当性や一般性の検証を東京湾におけるシー・トゥルース・データに対して行うとともに,マニラ湾等の水質汚濁が顕著なフィリピン国内の沿岸域の環境モニタリング解析への応用可能性について検討した. (2)サンゴ礁海域に関する衛星リモセン画像解析と関連モニタリング技術との融合: 昨年度から研究の重点を置いているサンゴ礁海域の環境モニタリングに関して,昨年度行った沖縄・石垣島での集中観測をさらに発展させた現地観測を,沖縄本島西岸+慶良間諸島の海域で行うとともに,関連する衛星リモセン画像解析を行った.それに並行して,広域海水温のモニタリング・ネットワークの構築を沖縄・南西諸島沿岸域において実現させるとともに,同様の広域沿岸海水温モニタリングネットワークをフィリピン沿岸海域においても具体化させる試みをフィリピン大学海洋研究所と共同で行った(その一部はすでに稼動中である).これらの成果は,一昨年に沖縄海域やフィリピン海域も含めて世界規模で発生したサンゴ白化現象の地域分布の解析等に有効に用いられた. (3)サンゴ礁-マングローブ生態環境モニタリングに関する国際共同研究体制構築の試み: 本国際学術研究を通じて,アジアにおける沿岸環境を特徴づけるサンゴ礁-マングローブ生態系に関して,衛星リモセンに限らず他の様々なモニタリング技術を統合させた,より合理的なモニタリングシステムの構築に向けて,上記のフィリピン大学海洋研究所,オーストラリア・ジェームスクック大学,同・クイーンズランド大学等との研究者による新たな国際共同研究体制構築のための基礎を形成することができた.
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