研究課題
国際学術研究
負の電子親和力(NEA)光電面は、広い波長範囲に渡って均一かつ高い光電変換効率を有する実用的に重要なデバイスであり、さらなる高感度化・長寿命化が期待されている。本研究では、高指数面を用いた新たなNEA面の形成、およびNEA面の構造解明を試みた。従来型光電面のGaAs(001)に加えて、(111)A及び(311)Aを用いて光電面を作製し、特性を測定した。その結果、(111)Aおよび(311)Aでは活性化過程におけるクリーニングに臨界温度が現れ、光電感度が向上することを見出した。光電面基板材料であるGaAsの表面構造観察を目的として、英国ロンドン大学が所有しているMBE-STM複合装置を用いてGaAs(001)および(110)の原子像を得ることができた。この知見に基づき、自作MBE-STM装置を用いて光電面に用いた各指数のGaAs表面を観察し、(111)A及び(311)Aは特定の原子ステップによって形成された、特有のテラス構造を持つことを明らかにした。今後、表面構造と光電感度の関係を解明することにより、さらに光電変換効率を上昇させることができるものと期待している。尚、NEAに関する共同研究を進めるなかで、両研究グループにおいて「量子構造を有するレーザを試作する」という、独立に研究してきた共通研究課題を見出し、共同研究を進めた。報告者らは、MBE装置を用いてInGaAs/GaAs MQWを製作し、V/III比=3.8において最大のPL強度を得ている。また、英国ロンドン大学のMBE-STM複合装置を用いて、メサパターンを形成したGaAs基板の原子像観察に成功し、パターン基板においてもMBE成長及びSTMその場観察が可能であることを明らかにした。さらに、メサ基板上にピラミッド形状を持つGのAsの微細構造が形成されることを示した。これらの結果は、量子構造を有する実用的なレーザの実現に対する有意義な1ステップであると考えている。また、共同研究を進めているジョイス教授から、有意義な研究プロジェクトであり、次年度以降も継続して研究を進めたいというコメントをいただいた。
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