研究課題
東南アジアの特異的な土壌が育んできた学術的に貴重かつ有用な窒素固定菌群に関して、その遺伝的多様性の系統的研究を行なうことにより、永続的地力保持に基づく環境改善に寄与するとともに東南アジアの食糧、バイオマス生産に役立つことを目的とし、日本学術振興会の学術交流と連動させながら、以下の研究を実施した。1 タイの土壌およびマメ科植物根圏より、熱帯性窒素固定細菌を探索し、酸性土壌に適応しているダイズ根粒菌を分離した。2 インドネシアの熱帯樹木の根粒より窒素固定菌を広く探索し、アカシア及びトルコネムの木の根粒より細菌を分離した。その系統分類を行ない、アカシアの細菌はBradyrhizobium elkaniに属し、モロッカネムの木の根粒菌は広い種からなり、遺伝的に多様であることが分かった。3 フィリピンの土壌および豆科作物より分離した窒素固定菌の接種によるピ-ナッツおよびダイズ作物への影響をフィリピンの農場で試験し、作物の生育を促進することを明らかにした。4 マレーシアの根圏に棲息する窒素固定菌を探索し、これら窒素固定菌の一部がバナナの生育を促進することを発見した。5 東南アジアの窒素固定菌研究者のネットワーク作りと共同研究推進のために、マレーシアにおいて、研究発表および今後の共同研究の方向に対する打合せ会議を行なった。その結果、インドネシアで分離した酸性耐性根粒菌を代表に選び、5カ国でそれを評価することとした。またイネに窒素固定能を付与する研究を共同で開始することにした。
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