研究分担者 |
マダナート セイマー カリフォルニア大学, バークレー校・交通研究所, 準教授
カナファニ アディブ カリフォルニア大学, バークレー校・交通研究所, 教授
森川 高行 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30166392)
福山 敬 鳥取大学, 工学部, 助手 (30273882)
喜多 秀行 鳥取大学, 工学部, 教授 (50135521)
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研究概要 |
交通機関の相対的優位性は,地域固有の地理的条件や社会的条件に大きく左右されると同時に,発展の過程で形成される状況にも依存し,新たな優位性を形づくる.したがって,社会的に望ましい交通費用の負担の帰属や交通モード分担のありかたも地域により異なる.交通サービスのより効率的な提供方法の検討に際しては,地域により異なる交通モードの特性を的確に把握し,その特性に即した交通政策を策定する必要があると考える. そこで本研究では,発達状況が大きく異なる日本とカリフォルニアの都市間高速交通システムを取り上げ,両者の比較分析を行った.比較の軸としては,利用者の選好行動,交通事業者のサービス提供行動,政府の行動を含む社会経済条件などが挙げられるが,本年度はまず両地域における交通モードごとのフルコストを計測し,費目ごとの単位サービス費用を比較するという方法を採用した.後に示すように,フルコストには利用者選好,外部(不)経済,制度,政策,社会的受容性といったさまざまな要因が反映されているため,その差異に着目することが比較分析を行う上で有効な情報となり得ると考えたためである. まず,両地域におけるフルコストを計測するための統一的な枠組みを構築した.サービスに要する種々の費用を,(1)インフラ費用,(2)運営費用,(3)利用者費用,(4)外部不経済費用,の4つに大分類し,さらに下位の費用項目ごとに費用の配賦基準と推計法を整理した.そして,既往統計資料等より人キロあたりの単位輸送コストを推計した.現時点までの作業結果から,カリフォルニアの「航空」と日本の「鉄道」に優位性が見られ,その原因として燃料費や人件費単価の相違ならびにネットワークの規模の経済性や密度の経済性が存在することなどが明らかとなっている.
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