研究課題
国際学術研究
先ずこの研究においては、時間的・空間的に高い分解能を持ち1.2^-2K付近で高感度で応答の早いヒートパルス(フォノンパルス)の発生及び検出の技術を完成させる必要があった.これにはアルミニューム薄膜超伝導ボロメータが最も好ましいと考えられ、ボロメータとしては有限の超伝導転移温度幅と高い再現性を必要とする.この研究に於いて完成させた技術は次の通りである.時間・空間分解能を高めるため半導体の微細加工用のフォトリソグラフィーの技術でヒーター(発生素子)ボロメータ(検出素子)とも50×50μm^2程度と可能な限り小さくし、同軸ケーブルの特性インピーダンスに合わせて作動時に50Ωとなるようにし、有限の転移温度を持たせるため5×10^<-6>Torr程度の高純度酸素ガス雰囲気中で作製した.極めて短いパルス電流(数ns)によるヒータ・ボロメータ間の電磁誘導(ブレークスルー)を防止すべく電極の配置やマイクロ同軸ケーブルとの接続を工夫し、得られた信号における有限の熱伝導速度や転移速度、熱容量等による時間的な遅れに対しては数値計算によるデコンボリューションを行なうことにより真のエコーシグナルを求める技術を開発した。SiGe系のエビタキシャル膜によるトンネル素子において、Si基板とSiGe膜との界面の結晶歪みによる散乱やモード変換について研究を行い、100A 程度の薄膜においてもこのフォノンパルスによって高い感度で測定できることを明らかした。更にこのような研究のため、Si基板上のSiC系エピタキシャル薄膜による素子の作製を行なうことを目的として、水素プラズマスパッター法による製膜を試み、実に800℃という驚くべき低温で、Si基板上に3C-SiCをエピタキシャル成長させることが可能となった.今後はこのSiC系素子によって、本研究を続けたい.
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