細胞近傍のミクロ流れによる能動制御と生体内マクロ流れとの動的連結性

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09044180
• 研究機関: 慶応義塾大学
• 研究代表者: 谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
• 研究分担者: PEDLEY Timot ケンブリッジ大学, 教授 ; KAMM Roger D マサチュウセッツ工科大学, 教授 ; 小林 弘祐 北里大学, 医学部, 講師 (70153632) ; 岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (10276412) ; 池田 満里子 慶應義塾大学, 文学部・生物学, 教授 (00051368)
• キーワード: 生物流体力学 / バイオメカニクス / 動脈 / 気道 / 内皮細胞 / 上皮細胞 / 力学適応

研究概要

本年度はミクロレベルとマクロレベルに関して生体系における流れの様子を明らかにした。細胞レベルとして、動脈内皮細胞と気道の上皮細胞の物理的刺激に対する応答を調べる。ミクロレベルの現象は細胞に与えた物理的刺激が遺伝子発現を引き起こしており、細胞内の生化学的な物質移動の情報をもとに細胞にあたえた流体力学的刺激が細胞内をどのような情報伝達径路を辿るかをトレーサーをもとに追跡した。とくに肺の気道の上皮細胞の場合は、大きく変化し、流れと大変形が同時に生ずるので、物理的刺激が顕著である。呼吸系のミクロマクロ連結は極めて重要な点となり、呼吸機能のバイオメカニクスの本質に関連している。ミクロレベルでは、細胞を中心とした実験、それらの情報を基にしたミクロレベルでの解析、分子生物モデル、細胞内メカノケミカル変換が中心となる。一方において、マクロレベルでの現象把握は、動脈系及び気道系の流れの現象を生体組織の形態情報をもとに行った。マクロレベルの解析はこれまで研究が多く行われているが、問題は、実際の生体内の血管や気道の様子を十分に考慮に入れられるかという点である。そこで、CTスキャン超音波やMRIなどの非侵襲的な計測から得られた画像情報を基にして、数値解析やモデル実験を行い、より生理的な又は病態生理的な状態での流れの把握を行った。

研究成果

• [文献書誌] 谷下 一夫 他: "Effect of elastic wall on axialgas dispersion in an osillatory flow through a tracheal model" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 397-398 (1997)
• [文献書誌] 谷下 一夫 他: "Microfluid flow near the endothelial cell surface" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 411-412 (1997)
• [文献書誌] Richardson, P.D.: "Flows and wall mechanics in critical arteries" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 23-26 (1997)
• [文献書誌] Kamm, R.D.: "On the role of small airway mechanics in asthma" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 45-48 (1997)
• [文献書誌] Pedley, T.J.: "Flow structure interactions in biomechanics" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 5-8 (1997)
• [文献書誌] Mow, V.C.: "Analysis of transient intracellular ion-concentrarion and electricalpotential changes associated with cellswelling" Proc.of Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering,JSME. 59-62 (1997)