研究概要 |
まず最初に,日本及び米国のJIS及びASTM規格の問題点を検討し,珪素鋼板用単板磁気試験器のJIS及びIEC規格も勘案して,試作する単板磁気試験器(以下SSTと呼ぶ)の構造及び寸法を決定した。すなわち,ヨ-ク構造としては,縦型4種類(V_1〜V_4),横型2種類(H_1,H_2型)を試作した。また,試料寸法としては,50×360の小形から,100×500の大形まで計5種類とし,それぞれ未焼鈍と焼鈍済みの試料を準備した。磁界の測定法としては,Hコイル法を原則とするも,ロゴウスキー・チャドック形も試作した。測定項目は,鉄損,H_<max>,励磁VA,波形率とし,最大磁束密度1.4Tまで測定することにした。SSTを回送することにより器差を無くし,測定系の影響を見るため,測定システムは各局所で固有のものを使用することにした。そのため,各局所の所有する測定器及び測定システムの調査検討を行った。一つの試料について,それぞれ,5回の測定を行うことにより,再現性の検討も行うことにした。測定系としては,波形制御をデジタルフィードバックで行う所と,アナログフィードバックを行う局所に2分して,優劣比較を行うことにした。すべての局所でコンピュータを用いた自動計測法を採用し,再現性の向上と省力化を図り,多くの試料及びSSTについて実験を行うことにより,最適測定器を開発することにした。 以上のような次第で,多数の組み合わせ実験ができるが,すべてのSSTを国際回送すると輸送費がかさむので,第1回としては,V_3型を回送し,他のSSTについては同志社大と関東学院大で測定を行い,来年度にもう一種,有望なSSTを回送試験することにした。 以上の方針を確立し,具体化するために,予備実験を繰り返し,関東学院大と同志社大で度々討論会を開催した。また,ロンドンに外国の全分担機関から集まってもらい,これらの事項について討論,打合せ会を開催した。さらに,各局所の状況把握のため,中田と石原が分担して全研究機関の実状調査を行うとともに,ウォルフソン磁気工学センターよりDr.Meydan氏が,日本の現状調査のために来日した。 試料の製作などに手間取り,計画はおくれ気味であるが,ほぼ所期の目的を達成できた。
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