研究課題/領域番号 |
09044200
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神尾 好是 東北大学, 農学部, 教授 (00109175)
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研究分担者 |
冨田 敏夫 東北大学, 農学部, 助教授 (00126129)
POOLE Leslie ウエイクフォレスト大, 医学部, 凖教授
CLAIBORNE Al ウエイクフォレスト大, 医学部, 教授
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キーワード | NADHオキシダーゼ / NADHオキシダーゼ遺伝子 / AhpC / AhpC遺伝子 / 遺伝子破壊株 / Streptococcus mutans / アルキルヒドロパーオキシドレダクターゼ / 酸素ストレス |
研究概要 |
先に申請者らは、通性嫌気性レンサ球菌S.mutansの酸素耐性株が酸素の曝されると、過酸化水素生成型(Nox-1)と水生成方(Nox-2)の二種類のNADHオキシダーゼを誘導的に合成することを発見した。さらに、Nox-1型NADHオキシダーゼが大腸菌やサルモネラ菌の酸素ストレス防御因子アルキルハイドロパーオキシドレダクターゼ(AhpR)のAhpF成分と高いホモロジーを示し、また、AhpRのAhoCの成分の遺伝子ホモローグがnox-1遺伝子の上流に存在することを明らかにした。本研究は、レンサ球菌の酸素毒性防御にかかわるNADHオキシダーゼの機能発現調節機構の解明を目的として、酵素反応の動力学的解析による触媒反応機構の解明と、酸素により誘導される両酵素の機能発現調節の解明の両側面からアプローチし、以下の研究成果を得た。1)S.mutansのahpC遺伝子の全塩基配列を決定し、ahpCが186アミノ酸残基をコードする558bpの塩基配列から成り立、遺伝子産物の分子量は20460Daであることを明らかにした。2)S.mutans Nox-1とAhpCの大腸菌内での大量発現系を構築し、酵素タンパク質の大量精製に成功した。3)過酸化水素生成型NADHオキシダーゼであるNox-1がAhpC共存下でNADHパーオキシダーゼとして機能することを精製酵素を用いて証明した。4)酵素反応の動力学的解析によりNox-1はサルモネラ菌のAfpFと類似の酵素であることを証明した。5)Nox-2の活性中心のCys44をCys44Serに変えると本来の水生成型が過酸化水素生成型に変換することを発見した。6)Nox-1、Nox-2、AhpCの欠損変異株と野生株の機能解析によりS.mutansの好気エネルギー代謝には、Nox-2がNAD再生の鍵酵素として重要な役割を担うが、Nox-1の寄与は少ないことを明らかにした。7)S.mutansのahpCとnox-1遺伝子を大腸菌のahpC欠損株に導入したとき、大腸菌のパーオキシドストレスに対して耐性を賦与したが、S.mutansのAhpRシステム以外に酸素ストレス防御系が存在する可能性を示唆する結果が得られた。
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