研究分担者 |
三浦 一芸 農水省, 中国農業試験場, 主任研究官
野田 博明 農水省, 蚕糸・昆虫農業技術研究所, 室長(研究職)
星崎 杉彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
佐々木 哲彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60235257)
森岡 瑞枝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20272461)
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研究概要 |
1. 雄の雌化によってアズキノメイガの性比を歪めることが知られているポルバキアを,微細外科手術によってスジコナマダラメイガヘ移植することに成功した.この結果,後者にも同様の性比の歪みがもたらされたが,遺伝的解析の結果,これは雌化ではなく,雄性致死に原因があることが示唆された.この結果は,ポルバキアの示す生殖異常の表現型が宿主の違いによって左右されることを示した初めての例である. 2. 雌バイアス性比が不完全に母性遺伝するようなアズキノメイガ非ボルバキア感染系統(MD7)において,いったんは性状性比に自然治癒した,すなわち性比歪曲因子が伝達されなかったようにみえた場合でも,数世代後にふたたび強い雌バイアス性比を示すようになる場合のあることが確認された.同様の現象は,低頻度ながら,アズキノメイガの他の系統においても観察された. 3. 雌バイアス性比を示す各種昆虫について,ボルバキアゲノムに特異的なプライマーを用いたPCR法による探索によって,その原因因子の同定を行った. 4. タマゴヤドリコバチの感染系統と非感染系統の生活史特性の比較を行った.その結果,温度の上昇によって感染系統の発育に遅れのでる傾向が認められたが,感染系統の成虫の寿命は非感染系統より長かった.また,感染系統の総産卵数は非感染系統より多く,また前者の羽化雌数は後者の2倍以上であった. 5. ハワイ諸島において,ボルバキアに感染したタマゴヤドリコバチの調査と採集を行った.調査はタマゴヤドリコバチ用簡易採集トラップ,ライトトラップによる寄主昆虫の採集,畑等での被寄生寄主卵採集などで行った.その結果については,現在PCR法等で解析中である.
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