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1999 年度 実績報告書

細胞内共生微生物ボルバキアに関する進化学的・細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09044203
研究機関東京大学

研究代表者

石川 統  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70012482)

研究分担者 星崎 杉彦  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10270894)
森岡 瑞枝  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20272461)
佐々木 哲彦  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60235257)
三浦 一芸  農水省, 中国農業試験場, 主任研究官
キーワードコオロギ / 細胞質不和合 / ボルバキア密度 / 性比 / 雌化 / 雄性致死 / トランスポゾン / プロファージ
研究概要

1.タイワンエンマコオロギにおけるボルバキア感染と,それによる生殖異常について調べた.まず,ボルバキアの膜タンパク質遺伝子wspに基づく系統解析を行い,このコオロギに感染しているボルバキアは,ヒメトビウンカ,ヒラタコクヌストモドキ,チョウの1種,タマゴヤドリコバチおよびテントウムシなどに保持されているボルバキアと近縁であることがわかった.つぎに,生殖異常のタイプを検討する目的で,テトラサイクリン処理によって非感染系統を作製し,感染系統との間で交配実験を行った.その結果,感染雄と非感染雌の交配においてのみ,受精卵の孵化率が約20%にまで低下することがわかった.これによって,コオロギへのボルバキアの感染は比較的強度の細胞質不和合をもたらしていることがわかった.さらに,コオロギの各組織におけるボルバキアの分布をPCR法によって調べたところ,体液および精子にのみボルバキアの存在が認められなかった.また,定量PCR法による解析結果から,ボルバキアの密度は脂肪体においてもっとも高いことが明らかになった.
2.遺伝的雄を雌化することによってアズキノメイガの性比を歪めることの知られているボルバキアを,微細外科手術によってスジコナマダラメイガへ移植した.この結果,後者にも性比の歪みがもたらされたが,遺伝解析の結果,これは雌化によるものではなく,雄性致死に起因することが明らかになった.これによって,ボルバキアによる生殖異常の表現型を決めるのは,ボルバキアの系統の違いではなく,宿主の側であることが強く示唆された.
3.マダラメイガ類に感染するボルバキア類のゲノムには多くのトランスポゾンが散在することを明らかにし,それらの構造を解析した.また,ボルバキアゲノム中に存在するプロファージ様配列を発見し,各系統におけるその分布を調べることによって,このファージの進化的起源を考察した.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T. Sasaki: "Wolbachia infections and cytoplasmic incompotibility"Zoological Science. 16. 739-744 (1999)

  • [文献書誌] S. Masui: "The first detection of the insertion sequence・・・"Plasmid. 42. 13-19 (1999)

  • [文献書誌] H. ISHIKAWA: "Chemically-defined diets in studies of・・・"International J. of Ecol. Environ, Sci.. 25. 267-276 (1999)

  • [文献書誌] K. Matsumoto: "Phosphocarrier proteins in an intracellular・・・"Journal of Biochemistry. 126. 578-583 (1999)

  • [文献書誌] Y. Hongoh: "Cloning, sequence analysis, and expresion・・・"Insect Biochem. Mol, Biol.. 30. 173-182 (2000)

  • [文献書誌] T. Sasaki: "Horizontal transfer of Wolbachia in・・・"Heredity. (印刷中).

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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