研究概要 |
抗ジベレリンA_4(GA_4)モノクローナル抗体の可変領域V_L,V_Hをリンカーペプチドで結合した一本鎖抗体(scFv)をコードする遺伝子を構築したが,大腸菌で発現させた場合もタバコに導入して発現させた場合も,発現タンパク質はGA結合活性を示さなかった.一方,抗GA_4抗体に対するイディオタイプ抗体のscFv遺伝子を大腸菌で発現さて調製したscFvは抗GA_4抗体とGA_4との結合を阻害した.しかし,大麦のアリューロンプロトプラストを用いた実験では,このイディオタイプscFvはGAによるα-アミラーゼの誘導を阻害せず,ジベレリン受容体を認識する可能性は認められなかった。そこで,このイディオタイプscFvの利用について検討し,ELlSAのトレーサーとしては十分に活用できる可能性が示された.抗GA_<24>モノクローナル抗体遺伝子から構築した抗GA_<24>scFv遺伝子は大腸菌で発現指させた場合にGA_<24>と結合能をもつscFvを生成した.この抗GA_<24>scFv遺伝子をタバコに導入した場合,細胞質で発現するように遺伝子を構築して形質展開した場合には,ノーザン分析でmRNAの蓄積は認められるものの,ウエスタン分析ではscFvタンパク質は検出できなかった.一方,小胞体移行シグナルならびに小胞体残留シグナルを配したscFvを導入した場合にはscFvの蓄積がウエスタン分析で確認された.また,scFvを発現しているタバコでは矮化した固体が多く認められた.
|