研究概要 |
日本側研究者三川と渋谷は7月中旬アムステルダムで開催された、アメリカーヨーロッパ共同生薬学会に出席し、本研究に関する研究発表を行った。アメリカ側共同研究者Floss教授は、11月に東京で開かれたマイクティスラーシンポジウムでの講演の機会に、東京大学での講演を行い、さらに富山を訪問し富山医科薬科大学、金沢大学等で本共同研究に関連した講演を行った。ワシントン大学と富山医科薬科大学での共通の研究テーマであるポリケタイドの生合成研究では、ワシントン大学では主として放線菌が生産する抗生物質の遺伝子レベルでの研究を展開したのに対し、富山医科薬科大学では、植物のポリケタイド合成酵素であるカルコン合成酵素(CHS)とスチルベン合成酵素(STS)の反応に必要なアミノ酸残基を同定するため,変異を起こさせたストレインを作成し,反応生成物の分析を行い成果を得た.この間カルコン合成酵素に関しては,米国ソーク研究所のNoelらによって三次元構造の解析結果が報告された。富山医科薬科大学と東京大学でのテルペンの生合成研究に関しては、ジテルペンとトリテルペンの研究を分担し、東京大学に導入されたLC-MSをフルに活用し、反応精製物の詳細な解析を行い、共同研究の成果を得た。富山医科薬科大学で行っているジテルペンの生合成に関しては、非メバロン酸経路であることを^<13>C標識化合物の投与とNMR解析の実験結果で証明し本年度論文に纏め報告した。東京大学ではトリテルペンの生合成について、遺伝子のクローニングを行い、植物による生合成機構の違いがあることを世界に先駆け証明している。
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