研究分担者 |
KIL Yuri V. ベテルスブルグ核物理学研究所, 分子放射線生物学部門, 研究員
増井 良治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40252580)
加藤 龍一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50240833)
広津 建 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10047269)
大島 敏久 徳島大学, 工学部, 教授 (10093345)
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研究概要 |
あらゆる生物で,遺伝的組換えにおいて中心的役割を果たすRecA蛋白質の機能発現機構を解析することが試みられているが,常温生物のRecA蛋白質は結晶化が難しく,DNAに結合した活性型RecA蛋白質の立体構造解析はまだなされていない。また,超好熱性古細菌のRecAホモログは,真核生物に似かよっていることが知られている。そこで,ロシア,日本,アイスランドで採取されたた超好熱性古細菌から,耐熱性真正細菌および耐熱性古細菌のrecA遺伝子をクローニングし,遺伝子の塩基配列を決定した。これまでに5種類の超好熱菌および1種類の耐熱性酵母からRecAホモログをクローニングした。超好熱菌からは,いずれも,有核生物と真正細菌との中間のアミノ酸配列を持つRecA蛋白質が得られた。アミノ酸組成に特徴があり,Cys,Met,Asn,Glnなどは減少していたが,Arg,Glu,Proなどは増加していた。蛋白質のうち2種類については,蛋白質量産化をし,分子機能を解析した。その内の一つの超好熱菌蛋白質は,約80℃で立体構造変化を伴い,それ以下の温度では活性が低いが,80℃以上になると活性が大きく増大することがわかった。円二色性スペクトルや蛍光スペクトルなどの分光学的測定や活性測定の結果,トリプトファン.チロシンなどの芳香族アミノ酸を含む領域が80℃前後で立体構造変化することが明らかになった。超好熱菌蛋白質は,その至適生育温度である100℃になって始めて最大活性が発揮できるような立体構造をとっていることが明らかになった。
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