研究分担者 |
DOMITRI Bait ペテルブルグ核物理学研究所, 研究員
KIL Yuri V. ペテルブルグ核物理学研究所, 研究員
LANZOV Vladi ペテルブルグ核物理学研究所, 部長
広津 建 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10047269)
大島 敏久 徳島大学, 工学部, 教授 (10093345)
LANZOV Vladislav A. Petersburg Nuclear Physics Institue of the Academy, Head
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研究概要 |
RecA蛋白質は,生物の遺伝的組換えにおいて中心的役割を果たす蛋白質で,多くの生物種において広く保存されている。これらRecA様組換え蛋白質は,遺伝子組換え,DNAの複製などにも大きく関わるが,その機能発現機構には未解決の現象がまだ数多く残されている。そこで本研究では,進化的に大きく異なる古細菌・原核生物・真核生物のRecA蛋白質の比較解析から,その機能発現機構を解明することを目的として,まず耐熱性菌・古細菌の採集・分離を行うとともに,recAホモログのクローニングを試みた。 まず,多種類の熱耐性菌を採集し,ゲノムDNAの遺伝子バンクから,recA/RAD51遺伝子をクローニングし,すべての生物種に共通で機能発現に必要な領域を明らかにした。 次に,高度好熱菌Thermus thermophilus HB8からrecA遺伝子をクローニングした。量産化後,精製した好熱菌RecA蛋白質は,DNA鎖交換反応,DNA依存性ATP加水分解などの活性を有しており,これらが相同的組換え反応に必須の性質であることが示された。この好熱菌RecAで結晶化を行ったところ,容易に結晶を得ることができた。また,常温菌酵素では困難であったDNA存在下での結晶化にも成功した。さらに,NMRによる立体構造解析のために,分子同士の会合ができない欠失変異体を作製した。これによって,高蛋白質濃度でのNMR測定が可能になった。 真核生物の組換えについても,植物のユリの2つのRecA蛋白質ホモログの減数分裂期染色体における分布を観察した。その結果,これらの蛋白質は,原核生物のRecA蛋白質と同じく,組換え反応の初期過程であるDNAのホモロジーサーチから染色体対合において,協同して重要な役割をしていることが明らかとなった。
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